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家族信託に関する間違ったご認識について解説(スタート時とその後)

家族信託は、信託法が改正され一般個人が使えるようになって15年以上が経過していますが、まだまだ一般個人の方に周知されているとは言えない状況です。正しくご認識、ご理解をいただけますと大変使い勝手のよい方法です。しかし、間違って理解されているために、契約書にて設定した内容が、本来意図したように機能しない場合があります。せっかくの家族信託がそのような事態にならないように気を付けなければなりません。今回は、その一部をご紹介します。

金銭を信託契約されたもののその後に信託用の口座に入金されない

信託契約を締結された後、まずは安心とばかりにそのままにされる場合、信託は実質スタートしていません。信託契約の締結は、信託という箱ができた状態です。つまりは金銭を入金しませんと契約書内に金銭信託の金額が記載されていても無効です。また、リスクとしては信託専用の口座にへの入金行為は委託者の単独行為です。もし、時間が経過して認知症を発症された場合、入金できなくなります。それでは金銭の信託契約はもはやできないことになります。

不動産を信託契約されたもののその後に不動産登記がされない

信託契約を締結された後、信託の不動産登記をされないケースがあります。信託の登記は、登録免許税や司法書士報酬がかかるため、まだしばらくは保留され、いよいよとなったら登記しようとお考えになられる場合がありますが、この場合信託は実質スタートしていません。危険なのは登記する際に本人の意思確認が必須ですが、その時点で認知症を発症されていた場合登記できなくなります。もはや不動産の信託契約はできないことになります。

受託者が信託契約の内容以上に広範囲に財産を管理・処分される

親御様など委託者の信任を受けて子供様など受託者が、信託財産をご自身の判断で管理・処分される際のリスクについてです。親子の間柄も影響して、受託者である子供様が信託契約の内容以上に自由に管理・処分をされますと税務リスクが出てきます。つまり、実はこの契約は信託ではなく贈与だったのではないかと指摘を受けることになります。

以上、今回は家族信託のスタート時とその後に関する間違ったご認識について解説しました。委託者の口座が複数ありますと手間もかかります。不動産も改めて登記依頼となりますと遅れがちになります。契約締結後に速やかに各手続きをしていただくようにお願いいたします。
また、とくに親子間での信託契約では締結前のような感覚で財産を動かしますと税務から贈与の指摘を受けるリスクになりますの気を付けなければなりません。

家族信託の利用数の統計は全体では取れないものですが、不動産の信託登記のデータは法務局が公表しています。それによるとここ数年は毎年、前年比1.5倍の伸びとなっています。
当事務所でも家族信託のお問い合わせ、ご相談が増えています。
家族信託を効果的に活用するためには、対象とすべき財産を見極め、必要十分な体制をご案内し、将来リスクを考慮した提案が必要です。

当事務所は、渋谷駅の1つ隣の池尻大橋駅近く(池尻は世田谷区、大橋は目黒区)に事務所を構えております。親御様が地方で子供様が東京、その反対のケースも対応しております。家族信託・遺言・相続のご相談は、お気軽に若尾行政書士事務所までご相談ください!

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