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子どものいない夫婦は遺言と家族信託をどう使い分ける?認知症対策と資産承継の考え方を解説
子どものいない夫婦では、相続対策というと「遺言書を作成すれば安心」と考えられがちです。しかし、実際にはそれだけでは十分とはいえません。
子どものいない夫婦が備えるべきなのは、次の二つの場面です。
- 配偶者または自分が認知症になったとき
- どちらかが亡くなったとき
この二つは別々の問題ではなく、連続した一つの問題として考えることが大切です。
今回は、遺言と家族信託をどのように組み合わせればよいのか、実務上の考え方をご紹介します。
子どものいない夫婦が備えるべき二つのリスク
子どものいない夫婦では、まず認知症への備えを考える必要があります。
認知症になると、
- 預貯金の管理
- 不動産の売却
- 賃貸物件の管理
などが難しくなることがあります。さらに、その後どちらかが亡くなった場合には、配偶者だけでなく兄弟姉妹などが相続人となるケースもあります。
つまり、「認知症への備え」と「亡くなった後の資産承継」の両方を考えることが重要です。
まず家族信託で認知症に備える
認知症への備えとして有効なのが家族信託です。
家族信託では、
- 賃貸マンション
- 自宅
- 売却予定の土地
- 管理が必要な預貯金
など、認知症になると困る財産だけを信託財産とすることができます。すべての財産を信託しなければならないわけではありません。財産凍結による影響が大きいものを中心に信託することで、必要十分な認知症対策を行うことができます。
信託しない財産は遺言で承継先を決める
一方、信託しなかった財産については、遺言書で承継先を決めておくことが望ましいでしょう。
例えば、
- 日常生活用の預貯金
- 少額の金融資産
- 信託する必要のない財産
などは、遺言によって配偶者へ承継させることができます。
また、子どもがおらず、両親もすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、遺言によってすべての財産を配偶者へ承継させることも可能です。
遺言と家族信託は「どちらか」ではなく「組み合わせる」
遺言と家族信託は、どちらか一方を選ぶ制度ではありません。
家族信託は、生前の財産管理に加え、信託財産については将来の承継先を定める(=遺言)こともできます。一方、信託しない財産については遺言が有効です。
そのため、
- 「認知症対策が必要な財産は家族信託」
→自身が管理できなることを想定して管理を任せ、その後その資産を承継 - 「それ以外の財産は遺言」
→管理できなくなっても困ることのない財産を承継
という組み合わせが、子どものいない夫婦にとって合理的な設計となるケースが多くあります。
まとめ
今回は、子どものいない夫婦における遺言と家族信託の使い分けについて解説しました。
大切なのは、「遺言か家族信託か」という二者択一で考えることではありません。
まず認知症になった場合に管理や処分で困る財産を家族信託で備え、信託しない財産については遺言で承継先を定めるというように、それぞれの制度の長所を生かして組み合わせることが、将来の安心につながります。
若尾行政書士事務所では、ご家族構成や財産内容を丁寧にお伺いし、遺言と家族信託を組み合わせた最適な資産承継のご提案をしております。お気軽にご相談ください。